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最終更新:2023.5.24

舌下免疫療法の概要

舌下免疫療法の前提

まずは、舌下免疫療法の前提としてアレルギー性鼻炎一般について,アレルギー性鼻炎について の詳細記事をご覧ください。

アレルギー疾患は「あるかないか」ではなく「無段階に変動する」疾患であるから、免疫療法が可能となります。
しかし免疫療法では完全な治癒は実現できておらず、今のことろ「治癒に近い寛解」が限界で、再燃することもあります。

舌下免疫療法の現状

舌下免疫療法は、口腔・消化管が健常なときに無事に摂取できた抗原に対してはアレルギーが抑制される方向に体質が変化しやすいようであることの医学的実践で、その仕組みは完全には解明されておらず、したがって多面的に研究的治療です。
具体的には、事前の効果予測、途中での治療効果の客観的判定、長期的な展望や安全性については、今後解明が待たれる状況です。

現在までに国外も併せて十数年程度の実績ですが、効果としては7~8割の人にある程度の自覚的改善効果が認められるとされており、安全性についてはショック事例の報告はありますが、現時点までは死亡事例はありません。

日本アレルギー学会は、前項の実績をふまえ一昨年にガイドラインを緩和し、免疫療法は唯一アレルギーを根治しうる治療であるとして、スギ・ダニアレルギー性鼻炎に対して積極的に推奨しています。
一方で当院としましては、通院中の点鼻ステロイドと内服薬で十分にコントロールを得られない中等症以上の方におすすめしております。
また、薬剤をなくせるのであれば試してみたい、学業や妊娠に備えたい、などの都合も考慮して良いと思われます。

舌下免疫療法の基本的な注意事項

  • スギ花粉症に対する舌下免疫療法は、花粉の飛散期からは始めることはできません。
  • 毎日薬剤を舌下で服薬し、2年半~5年程度継続する必要があります。
  • 月に1回の受診が必要です。
  • 8割の方には何らかの改善が見込まれますが、1~2割の方には全く効果が出ません。
  • 治療終了数年後で症状が再度悪化した際は、再度舌下免疫療法をすることができます。
  • 体調不良時の服薬でショックを起こすことがあり、体調不良(口腔内の出血や歯科治療も含む)を考慮し服薬の中止・再開をご自分(または保護者が)判断していくことが必要です。
  • ダニに対しては、口腔内の副反応が強いことと、治療効果の実感がわかりにくいといわれています。

製薬メーカーのホームページをご覧下さい

舌下免疫療法について、治療薬であるシダキュア®、ミティキュア®の発売元である鳥居薬品と、アシテア®の販売元である塩野義製薬の一般向けに解説しているホームページをご覧下さい。
どちらかの製薬会社の記事を一通りご覧になれば十分です。

当院の小児への対応

学会は小児でも積極的に推奨していますが、① 前述のごとく将来的な効果や安全性については不明で、 ② 風邪を引きやすい、歯の生え替わりで口腔内が常に不安定、歯科矯正で口腔内に傷が常態化する年齢でもあり、間違えるとショックも起こしうる薬剤である、 ③医療機関の外で服薬するため急変時の対応が困難である、ことから当院としまして小学校低学年以下の小児につきましては積極的な推奨はしません。

小学校高学年以上の場合は、本人自身の治療希望が明確で、体調を自分で管理できるようであればご相談ください。



以上ご了承の上、舌下免疫療法をご希望の方は、当院における舌下免疫療法の詳細 の記事を必ずお読みになり、診察時にご相談ください。