当院におけるスギ花粉症舌下免疫療法について(1/4)

舌下免疫療法の治療効果

舌下免疫療法開始後はじめてのスギ花粉症の季節にある程度の治療効果が出ることがある一方、5年間続けても全く効果が出ないこともあり得ます。 海外での舌下免疫療法はイネ科花粉やダニ等のアレルゲンに対して行われており様々なデータの蓄積がありますが、シダトレン®は日本国内でしか販売されておらず、まだ臨床経験が少なく研究途上にあります。以下、シダトレン®の臨床試験時のデータを参照しながら治療効果と注意点について述べます。

証明されている治療効果

スギ花粉症の軽症化、治療薬の削減、一部の方は寛解(ほぼ症状が出なくなること)。

  • シダトレン®の臨床試験で、治療開始3か月後から効果が見られた方がいたと報告されています。
  • シダトレン®の臨床試験時に医師によって寛解したと診断された方は、1年目で2.3%(プラセボで1.6%)、2年目で17.0%(プラセボで8.3%)でした。
  • シダトレン®の臨床試験時の「自覚症状」調査では、治療開始後2シーズン目の春に花粉症症状が軽いかあまり感じないと解答し、改善効果があったと自覚された方は44.6%(プラセボでは25.3%)でした。
  • 治療後数年して効果がなくなった場合、再度舌下免疫療法をすることができます。

期待されている治療効果

以下の2項目は、シダトレン®の臨床試験等で証明されたわけではありません。 海外の舌下免疫療法で報告があるため、シダトレン®でも同様の効果が期待されているということです。

  1. スギ以外のアレルゲンによるアレルギー疾患(例えばイネ科の花粉症)の予防。

    ・その効果は舌下免疫療法を4~5年間継続したほうがより効果的で、治療15年後も効果が認められたと、海外で報告されています。

  2. 特に若年者では新たに喘息を発症することの予防。

注意点

  1. 全く効果がないこともあり得る上、現在では効果の有無を事前に予測できません。

    ・シダトレン®の臨床試験は、スギ花粉IgEがクラス3以上の方が対象でした。そのため、スギ花粉IgEの検査結果がクラス2の方は治療の効果が出にくいかもしれません。

  2. 副反応が起こる可能性があります。

    ・特に初めの1か月以内に多いと報告されています。

    ・シダトレン®の臨床試験時で副反応の発生率は13.5%(プラセボで5.3%)でした。そのうち7%が口腔内の軽度の症状でした。

    ・特に初めの1か月以内に多いと報告されています。

    ・シダトレン®の臨床試験時で副反応の発生率は13.5%(プラセボで5.3%)でした。そのうち7%が口腔内の軽度の症状でした。

  3. 稀にアナフィラキシーを起こす可能性があります。

    ・シダトレン®の臨床試験ではありませんでした。

  4. 風邪(インフルエンザ)や、体調不良、歯科治療等で、治療を一時中止・再開することを自分で判断していく必要があります。
  5. 治療期間は長期にわたり、最低でも1年半(18か月)~2年は継続する必要があります。

    ・持続効果を期待するならば3~5年は続けることが推奨されており、その間は毎月1回、本人が受診を続ける必要があります。

治療の流れ

治療の流れ

  1. 治療の開始にあたり、血液検査の必要がある方は診断に2回は受診が必要となります。

    ・シダトレン®による治療では、スギ花粉以外のIgE値の高い方の治療上の安全性と有効性は不明となっています。 また春の花粉症症状がスギよりもヒノキ等の方が強いと舌下免疫療法の治療効果を実感しにくい可能性もあります。これらのことを考慮すると、シダトレン®による治療の選択にあたり、事前にハウスダスト・ダニ類、カビ類・他の春の花粉のIgE値を測定して、医師と相談することをおすすめします。

  2. 治療法や副反応出現時の対応の理解度についてや、治療前の花粉症の程度について、問診や説明を受けます。(1時間程度かかります)

    ・治療するかをすぐに決められないときは、十分に時間をかけてお考えください。不明な点や不安な点は、遠慮なく何度でもお問い合わせください。

  3. 治療の開始時は1回目の服用を院内で行います。(服用後30分、院内待機となります。) 翌日からは自宅で2週間かけて服用量を増やしていきます。(服薬の増量期)
  4. 2週間後に再診し、問題がなければ維持量の薬剤が開始になります。(服薬の維持期)
  5. その後は最低4週間おきにご本人が受診し、口腔内の異常がないか等を確認の上で次の4週間分が処方されます。
  6. 最低でも1年半(18か月)~2年間、継続します。
  7. 開始1年半~2年後に治療効果を判定し、さらに継続するかどうか医師と相談します。 ご希望次第ですが、合計で3~5年間継続することが望ましいとされています。
  8. 花粉症の期間は、症状が残っているようであれば、今まで通りに内服や点鼻薬・点眼薬で治療します。

治療開始時期について

年間を通していつでも治療を開始できるわけではありません。開始時期は副反応の出やすさで下図のようになります。

注:下図は埼玉県さいたま市近郊の場合であり、他の地域では時期が変わるので注意

  • 特に治療開始から1か月以内に口内炎等の副反応が起こりやすいと報告されているため、スギ花粉飛散開始の1か月前までに治療を開始することが望まれます。
  • 体内のスギ花粉IgE値は年間を通じて一定ではなく、専門家から6月頃にピークになると報告されています。そこから2か月後の8月にはピークを過ぎると考えられます。体内のスギ花粉IgE値が高値の場合、免疫療法の副反応が出やすいことが想定されます。

以上を勘案して、治療に際しては医師と相談の上、開始時期を決めます。

次は、「服薬方法や副反応時の対応について」です。