最終更新:2023.5.7
アレルギー性鼻炎について
アレルギー性鼻炎の最新の定義
アレルギー性鼻炎(花粉症の鼻炎)の診断は、最新の学会のガイドラインで、「問診や鼻腔内の観察により、アレルギー性鼻炎の典型的な鼻粘膜所見と症状を呈する場合は、臨床的にアレルギー性鼻炎と診断してよい」と変更(緩和)されました。
いわゆる血液検査等の「原因とされる抗原検査」は、診断困難時やアレルゲン免疫療法(舌下免疫療法を含む)を施行するときに行うとされました。
診断に原因抗原の検査(検索)は必須ではありません。血液検査等で何かが陽性でも症状が全くないこともあり 、逆に検査が陰性(クラス0)でも激しい症状が出ることもあるので、医療現場の実情にあわせたようです。
これは検査法自体の限界や近年のアレルギー疾患の発症メカニズムの知見の反映でもありますが、10年後には医学の常識もさらに変わっているかもしれません。
アレルギーは ある・ない ではありません
アレルギー性鼻炎(花粉症の鼻炎)は、ある・ない、の2元論で考えることは間違った理解です。
全ての人がアレルギーを起こす回路を持っているわけであり、加齢、環境、食生活、疾病(感染)により、免疫バランスが変わると何らかのアレルギー症状を発症する可能性があります。(悪性腫瘍、自己免疫疾患、加齢症状の発症もです。)
つまり、アレルギー性鼻炎は誰でもいくつでも発症し得るし、その後も重症化したり軽症化したりします。
アレルギー性鼻炎・花粉症の診断・治療
- アレルギー性鼻炎(花粉症の鼻炎)の診断は、問診と鼻内所見で可能です。
- 特に重症な方や、舌下免疫療法を施行する前には、IgE検査を行うことがあります。
- 日常生活や睡眠に支障がでるくらいに症状があれば治療の対象となります。
- 治療は安全性や確実性、低コストを考えると、発作時には抗ヒスタミン剤を、中長期的な管理にはステロイド点鼻薬を用いることが基本であると思われます。
症状と希望により舌下免疫療法や、重症者についてはゾレア@の注射療法、手術療法も検討されます。 - 近年市販薬も多くある抗ヒスタミン剤の服薬は、鼻汁や痒みが落ち着いている時に継続することは有害ですらあり、注意が必要です。
一方で長期的に用いることで効果を発揮する内服薬もあります。 - 点鼻のステロイドは、20歳未満の成長期の若年者についてはごく軽度ではあるものの身長の成長に対する抑制の疑いがあります。
点鼻薬といえども、若年者はもちろんのこと全年齢層において、時期を見て適切な休薬期間を設けるように服薬調整が必要です。 - プレドニン@やセレスタミン@等のステロイド内服薬は花粉症の重症発作時のみに限定すべきで、さらにステロイドの注射は半永久的な後遺症や、感染症・糖尿病・高血圧などの悪化による致死も懸念されます。
- 通年的または中等症以上の方は、医師と相談の上、適切に治療をする必要があります。
スギやダニの舌下免疫療法については、舌下免疫療法の概要 をご覧ください。